第928回 「塗ってしまえ!」

11月7日         中村 覚

難しい話を難しく話されて、ますますわからなくなるってこと、ありませんか?でも不思議と難解であればあるほど高尚なものに思えて、さっぱりわからないのにありがたく感じてしまう。「大先生のお話はなかなか難しゅうございますなぁ。」

これって、音楽や絵画、読書、芸能にも通じるのではないでしょうか。時間をおき、頭の中で咀嚼し直し わからないまま余韻を楽しむ。それを繰り返す内に いつしか深淵に…、趣味の世界では理想とするところです。

ところが、実生活ではそんな悠長なことはやってられません。
簡潔に、誰にでもわかるように!
そういったことの最たるものが、この道路かなと。
「塗ってしまえ!」

青く塗られた右折車線。実はこの道路ができた当初は塗られておらず、ただの3車線でした。通るたびに「この道、わかりにくいなぁ。いつも通る人はいいけど、ちょっと危ないなぁ」と思ったものです。それから何年か経った頃、写真のように右折車線だけ青く塗られ これには うなりました。「この手があったか、なんと わかりやすいっ!」
「塗る」というシンプル過ぎる解決策、思い付きもしませんでした。(驚)

ファーストフード店でのドライブスルーは周知のとおりですが、こちらは道の駅のドライブスルーです。店への出入口となっている広々とした通路ですので、このようにしっかり緑で塗ってくれていると、「ドライブスルー、ご利用の方はこちらへ!」と一目瞭然です。大きな看板に活字表記するより効果てきめんかと思います。

最後に、近所にある毎日が正月の横断歩道です。(笑)ウソです。

これほど目を引く横断歩道へと様変わり!
近くに中学や高校もあり、車の交通量も多いということで 注意喚起のために紅白にしたのでしょう。やはり赤はパッと目に入って来ますね。この写真を撮る時も 車の往来はひっきりなしでした。

全国道路標識表示業協会という組織があるようで、ネット資料によると路面のカラー化の効果をこのように書いていました。

・識別性
色の区別しやすさであり、異なる色を隣接させるとその境目で著しい対比が生じ、 境界線付近は色の属性がより強調された縁辺対比として知覚される。

さすが専門の資料で、わかりにくい用語が…。(汗)
要するに「違う色を隣り合わせることで色の特性が強くなり、周りと区別しやすくなる」ということでしょうか。確かに道路のグレーと青、赤、緑などの色の対比は視覚に訴える効果が高いですよね。

こうした色の解決策を考えた人は本当にスゴいなと思います。みんなにわかりやすく、効果てきめんで予算はかけない。私の感覚だと どうしても「道路は塗っちゃいかんだろう。」公共物への落書きはダメだと教わったもので。(笑)

ドライバーとしては、カラー塗装された道路は危険箇所だろうと意識して、より安全運転を心がけることが大切ですね。心します。