第974回 「公」と「私」

10月2日

秋篠宮眞子さまのご結婚にあたり、国民誰しもが自由に発言できる時代で 実に様々な意見が出ています。眞子様にとってはこのご結婚が、ご自身を縛る皇室から唯一、自由にはばたけるチャンスと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

私自身もそうでしたが 自分が嫁ぎ、親として娘を嫁がせ、違う立場を経験した方も多いですよね。娘の立場の時には、「なぜ結婚に反対するの?自分のことだし、自分で決めたい!」と思う。ところが親の立場になると「危うげでそう動けば転ぶ、とわかっているものを放置できるわけがない。」どちらの気持ちもわかります。が、「公」が「私」よりも優先されてきた皇室ならば、なおのこと苦悩が深くなられるかと。

眞子様の場合、これだけ多くの国民が反対するのは 小室さんの持つ危うさを感じ取り、ご苦労をなさって頂きたくない、という言わば親心のような表れにも思います。
ただ もう大人でいらっしゃいますので、ご結婚もすべては自己責任。今の時代、失敗したりつまずいたりする「私」の権利だっておありかと存じます。

かなり強靱にご自身の思いを貫かれようとなさる眞子様のお姿には、かつて秋篠宮様が紀子様とのご結婚を熱望されたお姿が重なります。兄宮様を差し置いてのご順番に異論もあった中、「聞き入れなければ皇室離脱も辞さない」との強い思いを発せられ、ご結婚を遂げられました。しかし、秋篠宮様もご自身が親の立場におなりだと、「公」の立場に悩み抜かれた末に、今回のご決断に至られたのでしょう。

眞子様は上皇様の初孫でいらっしゃり、今までずっと優等生としての「公」のふるまいを期待され、皇族としての責務を果たしていらっしゃいました。本当に大変でいらしたことでしょう。皇室を巡る諸々の問題やプレッシャーからもう解放されたい、そういったお気持ちでいらっしゃるのかもしれません。

しかし これからニューヨークでの生活に視点を移せば、毎日12時間勤務と言われる激務、厳しい成果主義の世界に身を置く小室さんなので、眞子様もご結婚後は、今までとはまったく違った厳しい「私」のご苦労がおありでしょう。窮屈でも守られていた日本の「公」なるお立場とは、根本的に違うニューヨークですから…。

最後に、ふと思います。「愛情の反対は、無関心である。」

眞子様と次女は年齢がほぼ同じです。そのため眞子様のお小さい頃からの可愛らしいお姿が、今も心に残っています。ご結婚にこれだけ多くの国民の声が寄せられるのは、眞子様にとっては「複雑性PTSD」を発症なさるほど苦痛でいらっしゃるのでしょうが、国民は心配申し上げ、「公」でいらしたお立場にふさわしいお幸せを、との思いがあるからこそではないでしょうか。

誰しも、結婚において整った幸せが最初からあるわけではありません。
様々な「公」の問題を乗り越えられ、どうぞお二人で「私」の幸せをお築きになられますように。